ヤマユリ 開花した花からは、甘く強い香り。カサブランカの親で、ユリの女王。
カサブランカの親「ヤマユリ」
ヤマユリは日本を原産とするユリの1種で、東日本を中心とした本州に分布しています。
ヤマユリは生花店でよくみかける「カサブランカ」の重要な交配親のひとつとして知られていますが、そのほかにもたくさんの園芸品種を生み出すために使われてきました。
ヤマユリは、漢字を当てると「山百合」で、山に生える百合(ゆり)という意味で、日陰がちの斜面や、明るい林、草原にも見られます。
1829年頃、ヤマユリはドイツ人医師シーボルトによってヨーロッパに持ち込まれましたが、このときのヤマユリの球根は開花しなかったそうです。ヨーロッパではじめてヤマユリが開花したのは、1861年イギリスでのことです。
甘く強い香り「ヤマユリ」
ヤマユリの開花時期は7月から8月で、花径が約20cmもある大きな花を、1から10輪ほど咲かせます。
ヤマユリの花びらには、白地に黄色い帯状の筋が入り、えんじ色か紫褐色の細かい斑点があります。開花した花からは、甘く強い香りがただようのも、ヤマユリの特徴です。
ヤマユリは、明治から大正にかけて他の日本産のユリとともに、重要な日本の輸出品のひとつでした。当時は神奈川県の丹沢山地(たんざわさんち)が群生地で、採取されたものは横浜港から大量に輸出されていました。
ヤマユリは、神奈川県の県花に制定されており、多くの市町村でもシンボルフラワーとして指定されています。
ユリの女王「ヤマユリ」
ヤマユリは、数あるユリの中でも「ユリの女王」と呼ばれています。ヤマユリはユリの中でも最大級の大きさで、背丈は1〜2mと高く、笹のように細い葉っぱを茎にたくさん生やします。
ヤマユリの球根(隣茎)は、淡いクリーム色で苦みが少ないので、「ユリ根」として食べることもできます。
ユリ根は「鬼百合(オニユリ)」、「小鬼百合(コオニユリ)」などの球根が有名ですが、古くから食用や薬用として利用されてきました。
ユリ根は、ほくほくとした舌触りが特徴ですが、たんぱく質が豊富で、滋養強壮効果があるともいわれています。ユリ根が使われる料理としては、「含め煮」や「茶碗蒸し」の具などが多いようです。