ツユクサ 早朝に花が咲き始める。万葉集にも詠まれ、日本には数種類が生息。
万葉集にも詠まれる「ツユクサ」
ツユクサ(露草)は、東アジアの温帯に広く分布する一年草です。ツユクサは万葉集にも詠まれるほど、古くから親しまれてきました。
ツユクサの名前の由来は諸説ありますが、朝露を帯びて花が咲くことから名付けられたという説や、朝に花が咲いて昼には花が萎む姿が朝露のように儚いことから名付けられたという説が有力です。
ツユクサは「ツキクサ(着草、月草、鴨頭草)」 、「ボウシバナ (帽子花) 」、「ホタルグサ(蛍草)」 、「アオバナ(青花)」 、「アイバナ(藍花)」、「ウツシグサ(移草)」など別名も多く、夏の季語としてもよく使われる花です。
ツユクサは茂り始めると茎を長くのばして地を這い、枝分かれした茎の節々から根を出すため、他の植物を覆うほど生育が旺盛です。
早朝に花が咲き始める「ツユクサ」
ツユクサの開花の時期は6~9月で、1.5cm程の花を咲かせます。ツユクサは早朝に花が咲き始め、強い日光に当たると花が萎む一日花ですが、つぼみが苞葉に2~3個包まれており、つぼみが次々に咲くため、2~3日花が咲いているように見えます。
ツユクサは花びらが3枚あり、上を向いている2枚は長さ10~13mm大きく青色で、下の1枚は長さ4~5mm小さく白色です。黄色いおしべは6本あり、そのうちの2本がめしべとともに前に長く突き出しています。
ツユクサの花は咲く時だけ苞葉から出て開き、花が萎むと苞葉の中に再び戻り果実が成長して結実します。
ツユクサの茎や葉は生薬で「オウセキソウ(鴨跖草)」とよばれ、解熱などに用いられます。またツユクサの若葉は食用にもなり、お浸しや和え物、炒め物等としても食べることができます。
日本には数種類が生息「ツユクサ」
一般的に知られているのは青色のツユクサですが、日本には数種類のツユクサが生息しており、見た目が少しずつ異なります。白い花を咲かせる「シロバナツユクサ」はツユクサの変種とされていますが、青色のツユクサとほとんど見た目が同じ形をしています。
また「トキワツユクサ」も、白い花を咲かせるツユクサとしてよく知られています。トキワツユクサは細長い花弁が3枚付いているのが特徴です。トキワツユクサは元々観賞用としてアメリカから伝わってきたものですが、現在では日本各地に自生しています。トキワツユクサは繁殖力の高さから、「要注意外来生物」として扱われています。
観賞用に開発された品種のうち、よく知られている品種が「ムラサキツユクサ」です。ムラサキツユクサの花の形はツユクサによく似ていますが、名前のとおり花びらが紫色です。またツユクサに比べて草丈が高いのも特徴です。
「オオボウシバナ」はツユクサの栽培変種で、友禅染や絞り染めの下絵の絵の具に用いる「青花紙(あおばながみ)」の原料となります。