ツクシ 古くから親しまれていて、花がなく茎は退化。繁殖力が旺盛。
古くから親しまれている「ツクシ」
ツクシ(土筆)は全国に自生している「スギナ」の胞子茎のことで、草原や田畑の畦などに多くみられ古くから親しまれています。
ツクシの名前は地上に突き出るように芽を出す姿から生まれ、中国名は「筆頭菜」です。
スギナの名前は草の形が「スギ」に似ていることから「杉菜」と名がついたという説や、節のところで抜いて継ぐことができたことから「継ぐ菜」から転訛したという説があります。スギナは松葉を接いだようにも見えることから「接ぎ松」「接続草」などの別名もあります。
ツクシの英名は「field horsetail」や「bottlebrush」とよばれ、ツクシが馬のしっぽに似ていたこと、ケイ酸を多く含むことから研磨剤としての用途にそれぞれ由来します。
花がなく茎は退化「ツクシ」
ツクシは花がなく、茎は柔らかな円柱状で退化した「はかま」と呼ばれる葉(葉鞘)が節に付いています。ツクシは「ツルボ(蔓穂)」の開花直前の姿によく似ています。
ツルボ ムスカリの花に似た形の花を咲かせる。柄の長い傘を畳んだ形。
ツクシは薄茶色で丈は10~15cm程度で、おひたしや佃煮などにして食べることができます。
ツクシの穂先は出始めは固く締っていますが成長すると松毬のように広がり、緑色で粉末状の胞子を散らします。
スギナはツクシが枯れた後に芽を出します。草丈は30~40cmになり中空の円柱状で、節で輪生状に多数分岐します。スギナの緑色の葉は小さく鱗片状です。
繁殖力が旺盛「ツクシ」
フキノトウに対するフキのように、ツクシとスギナは全く別の植物のように見えますが地下茎でつながっており、春にツクシが出た後スギナが次々に芽を出してきます。スギナは栄養茎として養分の調達を、ツクシは繁殖をそれぞれ分担しています。
フキノトウ フキの花の蕾で、フキの仲間だけ出てくる。摘んだばかりのものは、とても清々しい香り。
スギナは繁殖力が旺盛で、庭や畑に一度生えると毎年増え続けます。ツクシは食用、スギナは生薬としても用いられますが、庭や畑にとってはありがたくない雑草として扱われることもあります。
ツクシが出ている期間は短いですがスギナは秋まで茂っているので、スギナが多い場所を覚えておけば春には沢山ツクシを収穫することができます。ツクシは地方により時期に開きがありますが、九州の3月頃に始まり4月に本州で旬を迎え、更に5月初旬位になると東北など北の地方が旬を迎えます。
ツクシは和歌の世界でも季語として扱われ現在もハウス栽培などはされていないので、自然の中の春だけに楽しめる季節感あふれる食材の一つです。