ストック 花は甘い香りが長く続く。薬草として利用され、園芸品種がたくさんある。
薬草として利用されていた「ストック」
ストックはアブラナ科アラセイトウ属の花の総称で、高さ20~80cmほどに育ちます。ストックは多年草ですが、夏の暑さには弱いため日本では一年草として扱われています。
ストックの原産地は南ヨーロッパ一帯で、北アフリカや西アジアなどにも自生しています。ストックは古代ギリシャのころから薬草として利用されていた歴史があり、日本には江戸時代に渡来しました。
ストックには、「茎」という意味があります。ストックの茎は太くしっかりとしていて存在感があるため、「Stock(ストック)」と名付けられたといわれています。
またストックの和名「アラセイトウ(紫羅欄花)」は、ストックが日本へ渡ってきたとき、葉の質感が毛織物に似ていることから、ポルトガルの毛織物の一種である「ラシャ布」にたとえられ、「葉ラセイタ」と呼ばれていたのが転じて「アラセイトウ」になったとされています。
花は甘い香りが長く続く「ストック」
ストックの開花時期は11月~4月です。ストックの花は花茎を立ち上げて、下から花が咲いていきます。
ストックの花色は白、淡いピンク、濃いピンク、赤紫、青紫、パステルイエローなどがあります。ストックは咲き進むとともに、色が変化していく品種もあります。
ストックの花形には一重咲きと八重咲きがありますが、ストックの原種は一重咲きで八重咲きは品種改良によって生み出されました。八重咲きの品種は、雌しべや雄しべが花弁に変化して八重咲きになっているため、種子の採取はできません。
ストックは花持ちがよいため、切り花やフラワーアレンジメントとして使用することに向いています。またストックの花は甘い香りが長く続くという点も、切り花として人気の高い理由の一つです。
園芸品種がたくさんある「ストック」
現在、日本でストックとして育てられているものの多くは「マッティオラ・インカナ種」です。「マッティオラ」という名前はイタリアの植物学者「マッティオリ」に由来します。「インカナ」には「灰白色」という意味がありますが、ストックの茎や葉に細かい毛が生え、灰白色に見えることからつけられています。
ストックは、園芸品種がたくさんあり、茎の短い矮性や枝分かれの多い分枝性などの見た目で分類したり、切り花・鉢花用など用途別に分けたり、分類のされ方も様々です。
「スプレーストック」は香りがよく、茎の上に3~5本の枝がスプレー状に広がる種類です。スプレーストックは豪華な八重咲きや一重咲きと花の咲き方や花色が多様で切り花に多く用いられ、フラワーアレンジメントに向いています。
「スタンダードタイプ」はストックの中でもよく出回る種類の1つで、硬い茎と小さな花が多くつくのが特長です。スタンダードタイプは白が特に人気があり「雪波」、「朝波」などの品種のほかに、「アイアンシリーズ」という品種が年々人気となっています。