シャクヤク 姿がしなやかで優しい。華道の花材に用いられ、ボタンと見た目がよく似ている。

姿がしなやかで優しい「シャクヤク」

シャクヤク(芍薬)は東アジア原産の多年草で、古典園芸植物のひとつです。シャクヤクは中国北部、シベリア南東部、朝鮮半島などに自生し、中国では古くから栽培されていました。

シャクヤクの名前は姿がしなやかで優しい様を意味する「綽約(しゃくやく)」に由来するといわれています。またヨーロッパでは美しい花はよく「バラ」に例えられ、フランスでは「聖母のバラ」、スペインやイタリアでは「山のバラ」と呼ばれています。

シャクヤクは平安時代以前に日本に薬草として伝わり、その後江戸時代からは「茶花」として観賞用にいろいろな種類の園芸品種が作られました。ヨーロッパへは18世紀前半に伝わり、イギリスやフランスを中心に品種改良が行われてきました。

シャクヤクは高貴な美しさを漂わせる植物で、女性の美しい立ち居振る舞いが「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と形容されてきました。シャクヤク、ボタン、ユリはすべて婦人病によく使われている薬草です。

ボタン 美しさを象徴する植物で、花びらは薄く絹のようにも見える。シャクヤクと見た目がよく似ている。

ヤマユリ 開花した花からは、甘く強い香り。カサブランカの親で、ユリの女王。

華道の花材に用いられる「シャクヤク」

シャクヤクの開花時期は4~6月で、5月の中旬に見頃を迎えます。また花持ちは4~7日程度で花束や鉢花、華道の花材に用いられます。

シャクヤクは花屋さんに並ぶのも、初夏が中心です。シャクヤクは、英名の「ピオニー(Peony)」の名で流通していることもあります。

シャクヤクはつぼみのときはゴルフボールくらいのサイズですが、開花すると10~15cmくらいになります。

シャクヤクの花色は、紅色や桃色の他、紫紅色や白などがあり、花の形は一重咲き、八重咲き、翁咲きなどの種類があります。

ボタンと見た目がよく似ている「シャクヤク」

シャクヤクと見た目がよく似ているボタンは、豪華で大きな花をつけるという共通点があります。シャクヤクとボタンは見た目がよく似ているので混同されがちですが、見分け方があります。

シャクヤクの葉は厚みがあって表面はツヤがあり、切れ込みがなく丸くなっています。ボタンの葉にはツヤがなく、フチには切れ込みが入っています。葉はシャクヤクの方が小さいです。

シャクヤクはバラのような甘い香りがします。ボタンは香りが弱いため開花中に香りを感じることはあまりありませんが、わずかに柑橘系のよい香りがします。シャクヤクとボタンは開花が一部重なるため、開花時期だけでシャクヤクかボタンかを判断するのは難しいです。

シャクヤクは「ツバキ」のように花が開花した状態でそのまま下に落ちますが、ボタンは「サザンカ」のように花びらが1枚ずつ散っていきます。ボタンは花が散るのが早いのも特徴です。

ツバキ 文化的にも重要な樹木で、花には香りがない。数多くの園芸品種が生み出されている。

サザンカ 和風の庭木として人気のある、冬の花。3つの園芸品種群がある。

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