サフラン 特有の甘い芳香で、スパイスの中でもとりわけ高価。色と香りが人の気持ちを引き立てる。
特有の甘い芳香「サフラン」
サフランは秋咲きの「クロッカス」の一種で、マツの枝のような葉が出る多年草です。サフランの名前は、アラビア語で「黄色」を意味する「zafran(ザファラン)」が語源であるといわれています。
クロッカス 霜や凍結にも負けずに花が咲く。花の色がとても豊富。
サフランが最初に発見されたのはギリシャ(地中海沿岸)であると伝えられていますが、現在ではイラン、スペイン、ギリシャ、トルコなどヨーロッパとアジアの広い地域で栽培されています。
サフランの花には強い特有の甘い芳香があり、紀元前より世界各地で様々な用途に利用されてきました。日本へは江戸時代に薬用として伝わり、明治時代の後半から栽培されるようになりました。
スパイスの中でも、とりわけ高価な「サフラン」
サフランは10月中旬から11月上旬にかけて、紫色の花を咲かせます。サフランと言えば「サフランライス」をイメージする方も多いと思います。
サフランライスの黄色は、開花したサフランの花から、3分裂した鮮やかな赤色をした「めしべ」を抜きとり、乾燥させて得たものです。
サフランはその独特で上品な香りから、香辛料としての価値が高く、スペインの「パエリア」や南フランスでの「ブイヤベース」などでも用いられています。
通常、1kgのサフランをとるのに、50万本の「めしべ(約17万個の花)」が必要とされます。サフランのめしべは、1つの花から3本しかとれない上、その1本1本を手で摘みとっているため、数あるスパイスの中でも、とりわけ高価なものとなっています。
色と香りが人の気持ちを引き立てる「サフラン」
サフランはハーブの一種で、耐寒性の高い植物です 。サフランは、もともと染料や香料、薬用として広く栽培されてきましたが、最近では「観賞用」としても注目されています。
薬用としては古来より、サフランは鎮静や鎮痛用に使われており、中世ヨーロッパでは、サフランの色と香りは、人の気持ちを引き立て、明るくすると信じられていました。
最新の研究では、サフランに豊富に含まれる抗酸化成分が体内の炎症を抑えたり、うつ病の治療に役立つ可能性があることがわかってきています。