ムラサキツメクサ 花色の濃淡には個体差があり、花の付き方や葉の形でも見分ける。
葉や紅紫色の花がシロツメクサに似ている「ムラサキツメクサ」
ムラサキツメクサ(紫詰草)はヨーロッパや西アジア、北アフリカを原産とするマメ科の多年草です。ムラサキツメクサは、北欧のデンマークでは「国花」に指定されています。
ムラサキツメクサは帰化植物の一つで日本には明治初期に牧草や緑肥、家畜飼料として渡来し、後に山野や空き地で野生化して各地に広まりました。
ムラサキツメクサの名前の由来は、葉や紅紫色の花がシロツメクサ(白詰草)に似ていることから名づけられました。ムラサキツメクサは別名「アカツメクサ(赤詰草、赤漆姑草)」や「ハナゲンゲ」、「レッドクローバー(red clover)」とも呼ばれ、まれにある白花は「シロバナアカツメクサ(白花赤詰草)」または「セッカツメクサ(雪華詰草)」と呼ばれています。
シロツメクサ 緩衝材として詰められていたため「白詰草」。自分で肥料を作る。
ムラサキツメクサは日当たりが良くやや湿った場所を好み、当初はシロツメクサよりも標高の高い場所に多くみられましたが、今では平地の道端や公園、草地でも普通に見られるようになりました。
花色の濃淡には個体差がある「ムラサキツメクサ」
ムラサキツメクサの開花時期は4~9月で、茎の頂部にある葉の脇に直径3~6㎝ほどの球あるいは円筒状の花序ができます。
ムラサキツメクサの花は紅紫色ですが、花色の濃淡には個体差があります。
ムラサキツメクサの花は受粉すると茶色に変化しますが、シロツメクサのように垂れ下がることなく、そのままの状態でしばらく残ります。
ムラサキツメクサの茎葉は、茹でて食べることができます。またムラサキツメクサは「タンニン」、「脂肪」、「クエルセチン」などを含む花穂が薬用となるため、乾燥させた蕾を煎じて飲むことで咳や痰を鎮めるというヨーロッパの民間療法もあります。
花の付き方や葉の形でも見分ける「ムラサキツメクサ」
ムラサキツメクサとシロツメクサの違いは、色の違いだけでなく花の付き方や葉の形でも見分けることができます。
ムラサキツメクサは花のすぐ下に葉があり、葉の上に花をのせてるように咲いてるのに対して、シロツメクサは、茎の上に花があります。
ムラサキツメクサは葉茎を上に伸ばし独立した状態で先端に花を咲かせますが、シロツメクサは低く地面に近い位置を這うように葉を広げ、茎から長い花茎を伸ばした先に花を咲かせます。
ムラサキツメクサの葉は長楕円で毛が多いのに対して、シロツメクサの葉は丸く一般に小型です。