ムカゴ 貴重な山の幸で、栄養も豊富。10月から11月が「旬」。
貴重な山の幸「ムカゴ」
ムカゴ(零余子)はナガイモ(長芋)や自然薯などヤマノイモのつるにできる、灰色で楕円形の小さな実のようなもの(肉芽)で、地下にできる「イモ」と味が似ていておいしく食べられるため、貴重な山の幸として昔から親しまれてきました。
ヤマノイモは山野に自生しており、ヤマノイモの仲間は世界に600種以上知られています。ヤマノイモは中国大陸が原産で、古くから日本に渡来してきました。
ムカゴの大きさは、1から2cmの球形ですが、種類によっては5cmかそれを越す種類のものがあり、ムカゴが主役となる種類も中にはあるようです。
ムカゴは繁殖能力があるので、地中に埋めておくとそこからイモの芽が出て新しい苗として成長していきます。ヤマノイモを栽培する場合、イモを切って「種イモ」にして苗を作る場合が多いようですが、ナガイモや自然薯などをこの「ムカゴ」から栽培する事もあります。
10月から11月が「ムカゴの旬」
ムカゴの旬の時期は10月から11月で、その頃になるとヤマノイモの葉は黄色く色づいてきますが、ムカゴは完熟状態になっています。
完熟するとムカゴは指でも簡単に収穫できるようになりますが、収穫が遅れると枯れてしまったり傷むこともあります。
ムカゴは、ナガイモや自然薯の生産が多い場所ほど出荷されているため、北海道や青森県がムカゴの出荷量の約4分の3を占めます。ただムカゴはナガイモや自然薯が生えていれば収穫することができるので、日本各地で生産や販売がされています。
今ではムカゴの収穫量がそれほど多くないため、スーパーや青果店といったお店ではあまり見かけませんが、農作物の直売所や地元密着の店舗などでは見かけることがあります。
栄養も豊富な「ムカゴ」
ムカゴには、成長ホルモンの分泌を促したり免疫力を高める効果がある「アルギニン」や、ニキビやじんましんなどを予防する「アミラーゼ」が豊富に含まれているといわれています。
ムカゴは基本的には、皮をむかずに調理します。加熱調理をするとムカゴの皮は柔らかくなるので、食べていて口に残るということはほとんどありません。
ムカゴは一粒一粒が小さいので、炒め煮などの調理方法にも適しています。ムカゴとお米を一緒に炊き上げた「ムカゴ飯」は、晩秋の季語にもなっています。