モミジ 美しい紅葉で、葉色は多岐にわたる。改良・交配種も多い。
美しい紅葉「モミジ」
モミジは、美しい紅葉と、風情のある株姿、特徴のある葉の形などで古くから親しまれてきた樹木です。
一般的にモミジという場合には、「イロハモミジ」を指します。イロハモミジは、福井県以南の暖地を原産地とする落葉広葉樹で、「イロハカエデ」が本来の呼び名です。
イロハモミジは葉が5つから7つに大きく裂けることから、「イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト」の文字を当てて、イロハモミジと呼ばれるようになりました。
「モミジ」の呼び名の由来は、奈良時代に紅葉することを「もみつ」と書かれていたことから、「もみつ」の名詞形「もみち」が平安時代に「もみぢ」となり、現在の「モミジ」になったといわれています。またカエデは「蛙(かえる)の手」がなまって変わったものという説が有力です。
改良・交配種も多い「モミジ」
モミジは春の芽出しと共に深紅の小花が咲きます。モミジの花の直径は5ミリほどで、枝先に垂れ下がって咲く姿は美しいです。
モミジの花は風媒花(ふうばいか)で、花粉を風で飛ばすため、虫や鳥に見つけてもらう必要がありません。花の咲いた後にはプロペラ様の翼がついた実ができ、熟すと二つに分かれ、回転しながら飛んでいきます。
モミジの仲間にはいくつかの種類があり、イロハモミジの他に、オオモミジとそれによく似たヤマモミジ、さらにトウカエデ、ハウチワカエデなどがあり、これらの改良・交配種も数多く出回っています。
サトウカエデ(ハードメープル)は樹液が甘く、樹液を煮詰めたものが「メープルシロップ」になります。
葉色は多岐にわたる「モミジ」
本来、「紅葉(モミジ)」という言葉は秋になると葉っぱが色づくものを指していて、落葉樹全般が「モミジ」ということになります。
落葉樹の中でもカエデ科の植物の紅葉はひときわ美しいので、カエデのことを特別に「モミジ」と呼ぶようになりました。
モミジが鮮やかに紅葉する条件の中に、「昼と夜の温度差が激しいこと」という話をよく聞きますが、夜急激に冷え込むと、昼間に光合成によって作られた葉の糖分が分解して、「アントシアニン(赤い色素)」になります。そのため暖地では、モミジは綺麗な紅葉になりにくくなります。
モミジは秋だけでなく、新芽が色づくものもあります。モミジの葉色は赤や黄色の他に白や紫、ピンク、斑入りなど多岐にわたり、葉の形も葉幅の細いものや獅子葉などもあります。