クサボケ 鉢植えや盆栽に使われる。一重の朱色が基本で、ボケによく似ている。

鉢植えや盆栽に使われる「クサボケ」

クサボケ(草木瓜)はバラ科ボケ属の落葉低木で、本州中南部、四国及び九州の日当たりの良い山野や斜面に自生します。クサボケは、日向でなければ開花しません。

クサボケは「ボケ」のように美しい植物ですが、ボケよりも小さいことから「クサボケ」という名前になりました。クサボケの別名「シドミ」は酸っぱい実を意味する「酸ドミ」が転訛したもので、堅くて非常に酸っぱい果実のため生では食べられないことに由来しています。

漢方では乾燥させたクサボケの青い果実を「和木瓜(わもっか)」と呼び、強壮、鎮痙、鎮咳、利尿に効果があるとされています。

地方によっては「ヒガンバナ」と同じように、クサボケを家の庭に植えると火事を招くとする俗説があります。クサボケは鉢植えや盆栽に使われることもありますが、観賞価値や実用性が高い割には庭に用いられることが少ない植物です。

ヒガンバナ 彼岸の時期に咲くことから名付けられ、雑草を抑える効果がある。園芸用として輸出される

一重の朱色が基本「クサボケ」

クサボケの開花時期は3~5月で、葉の展開と同時に葉の脇に2~3輪ずつ花が咲きます。クサボケの葉は歪んだ卵形で縁には浅いギザギザがあり、両面とも無毛です。

クサボケは直径3㎝ほどの五弁花でボケよりも一回り小さいですが、花だけで見分けるのは難しいです。クサボケは5本の雌しべと50本前後の雄しべがありますが、花には雄花と両性花があり、両性花では花の基部にある子房が膨らんでいます。

クサボケの花は一重の朱色が基本ですが、八重咲き種や黄色、白の花が咲く品種(変種)もあります。平地では「バラ」のように秋にも開花、結実することが多く、9月頃には花と実を同時に見ることができます。

クサボケは10~12月頃にカリンを小さくしたような果実が黄色く熟し、直径は3~4㎝で樹高の割に大きいため目立ちます。クサボケの未熟な果実を漬けた果実酒は香りがよくて美味と言われ、果実にはリンゴ酸を多く含みます。

ボケによく似ている「クサボケ」

クサボケはボケによく似ていますが、クサボケが日本原産の植物なのに対してボケは中国原産です。

またクサボケが朱色の花びらなのに対して、ボケは紅色です。

クサボケとボケは花期も同じなので区別が難しいですが、花の大きさはボケのほうが大きく、草丈もボケのほうが大きいという違いがあります。クサボケは1mほどですが、ボケは2mほどまで生長します。

クサボケは枝は地面を這うか斜上して繁茂し小枝にトゲを生じますが、ボケは枝が上へと伸びて枝のトゲはあまり目立ちません。

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