コキア 明るくさわやかな印象で、観賞用に栽培される。畑のキャビア。

明るくさわやかな印象「コキア」

コキアは草姿が円錐形の整った形で繊細な茎葉が密に茂る、明るくさわやかな印象を受ける春まきの一年草です。コキアは観賞期間が長く、同じ形状のまま大きく育ちます。

コキアの原産地は西アジア、中央アジア、アフリカ、ヨーロッパで、日本へは中国経由で渡来したといわれます。コキアのはっきりした来歴はわかりませんが、『本草和名』(918年)に記載されていることから、その頃にはすでに入って来ていたと思われます。

コキアは「枯れた茎はホウキ、果実は食用に」と無駄がない利用価値の高さから、江戸時代には広く栽培されていました。コキアは刈り取って陰干しして、草ボウキをつくるのに利用されます。

コキアは別名「ホウキギ(箒木)」や「ホウキソウ(箒草)」、「ニワグサ」などと呼ばれています。コキアの学名「バッシア・スコーパリア」の「スコーパリア」とは「ほうき状の」という意味です。

観賞用に栽培される「コキア」

コキアの花は8月頃に小さな花が咲きますが、目立ちません。コキアは花びらがなく、淡緑色の萼があります。

コキアは夏の間は緑色の樹形ですが、秋になると紅葉しとても鮮やかで美しい赤に変化します。コキアは晩秋に株が枯れた後も、茎は種子が付いた状態で形が残ります。

コキアの名で流通しているものに、シルバーリーフの「ダイヤモンドダスト」があります。ダイヤモンドダストはオーストラリア原産の常緑低木で全体的に白っぽくクリスマスの飾りに好まれますが、半耐寒性なのでコンテナの寄せ植えなどで利用されています。

観賞用に栽培されるのは主に変種の「トリコフィラ(ハナホウキギ)」で、全体がやや小型で花壇の縁取りなどに向いています。トリコフィラの花は、雄花と雌花があります。他にも枝先が白く色づく「アカプルコ・シルバー」などの園芸品種もあります。

畑のキャビア「コキア」

コキアは猛暑にも耐えるので、花が少ない時期に重宝されます。コキアは1株でも美しいですが、広い敷地に群生させたコキアは圧巻の光景です。

コキアは秋に実る果実を、食用や薬用にします。また若い枝も茹でておひたしにするなど、食用にできます。

秋田の特産品「トンブリ」はコキアの果実を加工したもので、プチプチした食感と色合いから「畑のキャビア」などと形容されることもあります。トンブリは唐から来た「ブリコ(ハタハタの卵)」が転じた名前だと言われています。

漢方ではコキアの果実を「ジフシ(地膚子)」といい、強壮剤や利尿剤として利用します。

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