キンカン 縁起物の果実で、耐寒性が強く栽培も容易。鑑賞用と食用に分けられる。
縁起物の果実「キンカン」
ミカン科キンカン属の木になる果実のキンカン(金柑)は、一般的には柑橘類として扱われていますが、実は柑橘属ではなく、独自の金柑属という分類になります。
キンカンの原産地は中国で、日本には江戸時代以前に渡来しました。
キンカンは「縁起物」として、中国ではお正月などに飾る風習があります。またキンカンは黄金色をしているので、「金」、キンカンの果実がふっくらしている姿は福である「福徳」を意味しています。さらにキンカンは沢山実を付けるので「子孫繁栄」の意味も含まれています。
キンカンの果実は皮まで食べられることから生食、甘露煮やシロップ漬けなどにして利用されるほか、薬用にもなります。
耐寒性が強く栽培も容易「キンカン」
キンカンは7月から8月頃に小さな白い花を咲かせます。
キンカンの果実は種類にもよりますが、開花してから150日位が収穫の目安とされています。
キンカンの栽培は主に「温室」と「ハウス」、それに「露地」の3つがあり、温室栽培の物が早ければ11月末頃から収穫が始まります。露地物は1月から3月にかけて収穫されます。
キンカンは主に暖かいところで栽培されていますが、耐寒性が強く、栽培も容易であるため、庭木としても向いている樹木です。
鑑賞用と食用に分けられる「キンカン」
キンカンの種類は沢山ありますが、鑑賞用と食用に分けられます。
果実がおいしく生で食べられるのは、「ネイハキンカン(寧波金柑)」、「マルキンカン(丸実金柑)」、「ナガキンカン(金橘)」です。なかでも、果実が大きく品質がよいのはネイハキンカンで、生食用に市販されているキンカンはほとんどがネイハキンカンです。
「チョウジュキンカン(福州金柑)」は果実は大きいですが、酸味が強く、観賞用といえます。「マメキンカン(金豆)」は果実はごく小さく、木も矮性で、小品盆栽に利用されることが多いです。
「トウキンカン」はシキキツ(四季橘)または四季なりキンカンとも呼ばれ、果実の外観はキンカンによく似ていますが、ミカン属の柑橘類で、キンカンとは属が異なります。