カキ 秋の味覚を代表する果実で、未熟なうちは渋い。若葉は殺菌作用もある。
秋の味覚を代表する果実「カキ」
カキ(柿)は秋の味覚を代表する果実で、日本を含む中国、韓国など東アジアの一部を原産地とする東洋特有の果樹です。
カキの品種は1000種近くあると言われていますが、大きく分けると「甘ガキ」と「渋ガキ」に分けられます。
さらに甘ガキには「完全甘ガキ」と「不完全甘ガキ」があり、完全甘ガキはタネの有無にかかわらず甘いですが、不完全甘ガキは果実の中にタネができないと渋いままで甘くなりません。
カキは異なる品種を複数植えると実が良くなりますが、不完全甘ガキにタネを入れるには、雄花のつく品種をそばに植えるか、枝の一部に雄花のつく品種をつぎ木するなどが必要です。
若葉は殺菌作用もある「カキ」
甘ガキは日本独自の果実ですが、数多いカキの品種の中で甘ガキの種類は非常に少なく、20種類足らずしかありません。
カキの語源については、「赤木(赤い実がなる木)」からとする説など諸説ありますが、ヨーロッパやアメリカには日本から伝わったために学名にも「kaki」と記されています。
カキは5月から6月にかけて花が咲きます。カキは枝先に花芽ができるため、枝先を切り詰めると結実しにくいので、剪定にも注意が必要です。「桃栗三年 柿八年」といいますが、実際にカキの種をまいてみると、種をまいて実がなるまで約6、7年かかります。
カキの葉は大きな卵形をしており、皮質で光沢が美しく、品種によっては紅葉にも観賞価値があります。カキの若葉はビタミンCをたくさん含み、殺菌作用もあることから「柿の葉茶」や「柿の葉寿司」に使われます。
未熟なうちは渋い「カキ」
カキが本格的に収穫期を迎えるのは10月中旬から11月にかけてです。甘ガキ、渋ガキともに未熟なうちは渋いですが、甘ガキは熟すにつれて甘味が出ます。
甘ガキと渋ガキとの違いは、渋の原因である「シブオール(タンニン)」の状態にあります。
どちらも同じくらい含まれているにもかかわらず、甘ガキの場合は水に溶けない状態になっているためで、よく実の中に「ゴマ」といわれる黒い斑点が見られますが、これが「シブオール」が固まったものです。
一方渋ガキには、このシブオールが水に溶ける状態のまま残るため、渋ガキは天日干しによる「干し柿」として食べるのが普通です。