ジンチョウゲ 香りのよい花を早春に咲かせる。小さな花が毬のような塊になって枝先に咲く。
香りのよい花を早春に咲かせる「ジンチョウゲ」
ジンチョウゲ(沈丁花)は香りのよい花を早春に咲かせる常緑の花木で、夏の「クチナシ(梔子)」や秋の「キンモクセイ(金木犀)」と合わせて「三大香木」と称されます。
キンモクセイ 「ギンモクセイ」の変種で、秋の訪れとともに香る花。
ジンチョウゲという名前は、花の香りが香木の沈香(ちんこう)に似ていることと、十字型の花が香辛料の丁子(クローブ)に似ていることに由来しています。
ジンチョウゲの原産地は中国中部から雲南省、ヒマラヤ地域と言われており、日本では室町時代にはすでに栽培されていたという記述があります。
ジンチョウゲは間引いた枝で挿し木が容易にできますが、育てていると20~30年で急に枯れてしまうことがあり、花木の中では寿命の短い植物です。
小さな花が毬のような塊になって枝先に咲く「ジンチョウゲ」
ジンチョウゲの開花時期は2月下旬~4月中旬で、小さな花が毬のような塊になって枝先に咲きます。花びらのように見える部分は「アジサイ」や「クレマチス」などと同じように、「がく」が花びら状に変化したものです。
ガクアジサイ アジサイの原種。花色は土壌の酸性度に影響される。
クレマチス つる性植物の中でもっとも人気のある草花のひとつで、品種によって開花時期も異なる。
ジンチョウゲの花色は白やピンク、黄色などがあります。とくに有名なのが白と赤紫が混じった花の色で、中心部分は白で外にいくほど赤紫になります。
ジンチョウゲの樹高は1m~1.5mほどで、枝が良く分岐するので特に剪定をしなくても丸くこんもりとした樹形を保つことができます。
ジンチョウゲは雌雄異株で、雄株と雌株とがあります。日本で流通しているジンチョウゲの多くは雄株なので果実を見る機会はめったにありませんが、猛毒のある赤い果実を付けます。
花が落ちにくい「ジンチョウゲ」
ジンチョウゲを含むダフネ属は、アジアからヨーロッパにかけておよそ90種が分布します。日本には「オニシバリ」、濃黄色の花が鮮やかな「ナニワズ」、「コショウノキ」などが自生します。ヨーロッパ原産の「セリケア」はピンク色の花です。
ジンチョウゲの品種には、「シロバナジンチョウゲ」や「ウスイロジンチョウゲ」、「フクリンジンチョウゲ」などがあります。微妙な違いのものが多いですが、株全体から受ける印象はだいぶ異なります。
シロバナジンチョウゲは、がくの外側が白色をしており、ウスイロジンチョウゲはがくの外側が淡い紅色をしています。フクリンジンチョウゲは葉の縁に黄白色の斑が入っています。
ジンチョウゲは、半日陰でも育てることができます。ジンチョウゲは花が落ちにくいため生け垣にも用いられ、鉢植えしてベランダで育てることも可能です。