フヨウ 夏から秋にかけて咲く鮮やかな花で、朝咲いて夕方には萎む。ムクゲによく似ている。
夏から秋にかけて咲く鮮やかな花「フヨウ」
フヨウ(芙蓉)は日本、中国、台湾に分布するアオイ科の落葉性低木です。日本では四国、九州、沖縄の渓流沿いなどで自生しているのを見ることができます。
フヨウは中国が原産地であると推測されていますが、室町時代に観賞されていた記録があることから、日本でも古くから栽培されていたことがわかっています。
フヨウという名前は中国名に由来しますが、中国ではフヨウを花がハスに似ている木という意味から「木芙蓉」と表記し、中国での芙蓉は「ハス」を意味します。
フヨウは中国では古くから美人の形容に使われ、日本でも絵画、詩歌の題材となり、着物や工芸品の図案に用いられてきました。フヨウは夏から秋にかけて咲く鮮やかな花が人々に親しまれ庭木、公園樹あるいは街路樹として植栽されています。
朝咲いて夕方には萎む「フヨウ」
フヨウの開花時期は8月~10月で、花期になると分枝した枝の葉の付け根から花径10~15㎝程度の花を咲かせます。
フヨウの花色はピンクや白で、花は5枚の花びらをつけます。フヨウの花は朝咲いて夕方には萎む「一日花」ですが、花期の間は次々と途切れることなく開花します。
フヨウの園芸品種は多くありませんが、基本種の一重咲きの他、八重咲き品種もあります。「アメリカフヨウ(セイヨウフヨウ)」は手が隠れるほど巨大な花を咲かせる品種で、日本でも盛んに栽培されています。
「スイフヨウ(酔芙蓉)」は八重咲きの変種で、朝咲き始めに白かった花が、時間の経過と共に、酒に酔ったようにピンクへと花色が変化します。
ムクゲによく似ている「フヨウ」
フヨウの仲間は「ハイビスカス(ブッソウゲ)」をはじめ、熱帯・亜熱帯地域を中心に約250種が分布しています。フヨウの近縁種に「ムクゲ」がありますが、フヨウの花はムクゲによく似ています。
フヨウとムクゲとの見分け方としては、フヨウの開花は早くても7月下旬ころ、盛りは8月以降の真夏の花ですが、ムクゲの花は梅雨のころから開花します。またフヨウの雌しべは一般的に上向きに曲がっていますが、ムクゲの雌しべはほぼ真っ直ぐになっています。
フヨウは大きな葉で手のひらのような形をしています。一方、ムクゲの葉の大きさは小さめで、形は鋸歯で切れ込みが入っています。葉の色はフヨウは明るい緑で、ムクゲは深緑色です。
木全体としての樹形は、フヨウが放射状に広がるように伸びるので柔らかな雰囲気があるのに対し、、ムクゲは直線的に勢いよく生長します。