ムラサキシキブ 紫色の美しい実をつけ、庭木としてよく植栽されている。

紫色の美しい実をつけ、庭木としてよく植栽されている「ムラサキシキブ」

紫色の美しい実をつけるムラサキシキブ(紫式部)は、樹木の実の中では特異な色であることと、実つきも良好なことから庭木としてよく植栽されています。

ムラサキシキブの名前は、平安時代の作家「紫式部」にちなんで名付けられたといわれていますが、実際に植えられているのは自生種の「ムラサキシキブ」ではなく、園芸品種の「コムラサキ(小紫)」が多いです。

コムラサキはムラサキシキブの近縁種で、「コシキブ」とも呼ばれています。自生種のムラサキシキブは自然風の庭にしたい場合に、雑木の寄せ植えのひとつとして用いると、より素朴な雰囲気を出すことができます。一方、園芸品種のコムラサキは小型で実つきがよいため、鉢植えにして冬の間目立つ場所に置くなど家庭園芸に向いています。

ムラサキシキブは北海道~沖縄に広く分布していますが、コムラサキは北海道及び青森を除く日本各地の山野のほか、中国や朝鮮半島にも分布しています。

コムラサキとは見た目が違う「ムラサキシキブ」

ムラサキシキブとコムラサキとの見た目の違いは、「樹高」と「葉の形」、「果実の実り方」です。

ムラサキシキブは樹高が2~3mほどになり、枝は丈夫で上や横に生長するのに対して、コムラサキの樹高は1~2mで、枝は柔らかく下に垂れるように生長します。

ムラサキシキブの葉は、葉の縁が全体的にギザギザしていますが、コムラサキの葉は、葉先の半分の縁がギザギザしています。またコムラサキの葉は、ムラサキシキブの葉に比べて細長い形をしています。

ムラサキシキブの果実は枝にまばらに実るのに対して、コムラサキの果実は枝に固まってびっしりと実ります。

仲間の品種にはシロシキブやシジムラサキがある「ムラサキシキブ」

ムラサキシキブの仲間の品種には「シロシキブ(白式部)」や「シジムラサキ(紫々紫)」があります。

シロシキブは「シロミノコムラサキ」、「シラタマコシキブ」とも呼ばれるコムラサキの変種で、花も実も白いのが特徴です。

シジムラサキはムラサキシキブの散り斑入り品種ですが、流通量はそれほど多くありません。

ムラサキシキブに似ている「ホウライムラサキ」は沖縄から東アジア南部原産で、ムラサキシキブとは別種です。ホウライムラサキは実つきが非常に良い、葉に白い毛が生えているといった違いがあります。

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