ハクモクレン 本来のモクレンとは別種で、大型で厚みのある花びらを上向きにして咲かせる。
本来のモクレンとは別種「ハクモクレン」
ハクモクレン(白木蓮)は中国の中南東部原産で、比較的温暖な地域に自生する落葉高木です。
ハクモクレンは日本へは江戸時代以前に渡来し、現代では街路樹や庭木、シンボルツリーとして多数植栽されています。
ハクモクレンは江戸時代末期までは「モクレン(木蓮)」と同種扱いされていましたが、本来のモクレンとは別種です。
ハクモクレンは花期になると真っ白な花を咲かせるため「白い木蓮」という意味で名前がつけられました。ハクモクレンは、別名「ハクレン」または「ビャクレン」とも呼ばれています。
大型で厚みのある花びらを上向きにして咲かせる「ハクモクレン」
ハクモクレンの開花時期は3月~4月で、寒い時期から蕾をつけます。蕾には毛が生えていて、ふわふわとした見た目が特徴的です。蕾の時期は長く3ヶ月ほど続き、3月になると大型で厚みのある花びらを上向きにして咲かせます。
ハクモクレンの花は全開で開花はせずに、開き切らないままの状態が大きな特徴です。ハクモクレンの花びらは6枚で、その外側の3枚は萼片(がくへん)です。萼片と花びらはどちらも白く、区別がつきにくいため実際は花びらが9枚あるように見えます。
ハクモクレンの花にはレモンやライムを思わせる華やかな芳香があります。
ハクモクレンの葉は長さ6~16㎝で枝から互い違いに生じ相撲に使う軍配のような形で、葉の先端近くの幅が最も広く葉先の一部だけが細く尖っています。
コブシに見た目がよく似ている「ハクモクレン」
ハクモクレンは、モクレンと「コブシ」に見た目がよく似ています。モクレンは基本的には「シモクレン(紫木蓮)」のことを指しますが、モクレンもハクモクレンも中国が原産のモクレン属の樹木です。
モクレンは紅紫色の花ですが、ハクモクレンは白色の花をつけます。またハクモクレンは花が咲き散った後に葉が出るのに対し、モクレンは花と同時に葉が出てくる点も両者の違いの一つです。
ハクモクレンとコブシも見た目が非常に似ていますが、コブシは日本が原産の樹木です。ハクモクレンは花びらが9枚に見え肉厚ですが、コブシの花びらは6枚で薄いです。
花の向きにも違いがありハクモクレンは花が揃って上を向きますが、コブシの花は横や斜めなどバラバラの方向を向いています。花の形ではハクモクレンは開花しても花びらが閉じたままで広がりませんが、コブシは花びらが大きく開きます。さらにハクモクレンは開花中には葉が出ませんが、コブシは花の付け根に1枚だけ葉が出るので開花中は葉の有無で見分けることもできます。