センニチコウ 球状の花を咲かせ、観賞用として栽培される。花が色あせない。
花が色あせない「センニチコウ」
センニチコウ(千日紅)は、世界の熱帯、亜熱帯、温帯に約100種が分布するヒユ科の一年草、または多年草です。
センニチコウは、世界中に分布していますが、分布の中心は北アメリカ南部、熱帯アメリカおよび大西洋諸島です。
日本への渡来は古く、1695年の書物「花壇地錦抄」に記載があることから、江戸時代初期には渡来していたと推察されています。
センニチコウは別名「センニチソウ(千日草)」とも呼ばれており、センニチコウの花が色あせないという性質に由来しています。
球状の花を咲かせる「センニチコウ」
センニチコウの開花時期は7月~11月です。センニチコウは茎がよく枝分かれして茂り、球状の花を咲かせます。
センニチコウの花色は紫、赤、白、ピンク、オレンジなどがあり、草丈は10~60cm程度まで生長します。
センニチコウは花びらをもたず、色づいているのは「苞葉(ほうよう)」と呼ばれる花の付け根に付く葉の部分です。苞葉は乾燥させても色あせないので、ドライフラワーにも利用されます。
センニチコウは庭や花壇、鉢に植えて育てたものが、切り花としてよく仏壇に飾られます。またセンニチコウは「フラワーアレンジメント」にも欠かせない素材です。
観賞用として栽培される「センニチコウ」
センニチコウは大半の種は雑草ですが、花の美しい数種が観賞用として栽培されています。主に栽培されるのは「センニチコウ」と「キバナセンニチコウ(黄花千日紅)」で、数多くの園芸品種が流通しています。
センニチコウは、ブラジル、パナマ、グアテマラを含む中米原産の一年草ですが、現在熱帯アジア全域で帰化植物として定着しています。最近は「ファイヤーワークス」と呼ばれるスパイシーな香りをもち、ローズ色の花を咲かせる品種も流通しています。ファイヤーワークスはよく枝分かれして倒れながら横に広がり、大株になる性質を持ち、凍らせなければ冬越しもできます。
キバナセンニチコウは、アメリカ南部およびメキシコに分布する多年草ですが、寒さに弱く冬に枯れることが多いため、園芸上は一年草として扱われるのが一般的です。キバナセンニチコウの園芸品種には、鮮やかな朱色の「ストロベリー・フィールズ」があります。色の多様性はありませんが、センニチコウにはない花色が魅力です。
「センニチコボウ(千日小坊)」は花色や姿がセンニチコウに似ていますが、センニチコウの仲間ではありません。また「オランダセンニチ」は球状の花という点ではセンニチコウに似ていますが、バラ科の別種です。